【なぜ日本人は肌を白くする化粧を好むのか。】
以前アメリカに住んでいた時に「日本人は白人になりたいから、肌を白く塗るんでしょう」と言われてその発想に驚いた事があるのですが、それは全く違います。
日本人が憧れる「白い肌」というのは、陶磁器のように滑らかで毛穴が1つもないような、どこか人工的とも言える「白粉(おしろい)を塗ったような白」のことで、人種は全く関係ありません。
日本に白粉が入ってきたのは、およそ1330年前、飛鳥時代の持統天皇の頃と言われています。
当時大陸から入ってくるものは貴重だったので、上流階級で白粉が持て囃されました。
そして平安時代になると、「労働を知らない白い肌」が高貴さ・美しさの基準と言われるようになってきました。
江戸時代になると歌舞伎役者(かぶきやくしゃ)や芸妓(げいこ)も白塗りをするようになりました。
白粉(おしろい)が長い間使われてきた1番の理由は、日本では江戸時代まで照明はロウソクの灯りのみに頼っていたので、顔を暗がりでもはっきりと美しく見せる為だったようです。
そして江戸時代の流行最先端であった歌舞伎役者や芸妓への憧れから庶民(しょみん)にも広まっていったのです。
今でも歌舞伎役者や芸妓さんは伝統を受け継いで白塗りをしています。
ロウソクの灯りの中で見る芸妓さんはそれは綺麗なんだそうですよ。